日本語番組のアナウンサーとして
ベトナムと日本の関わりの深さを届けたい
グエン・ティ・ビック・ハー さん
VTV4日本語番組編集者・アナウンサー

レ・ラン・ゴック

ベトナムテレビ外国語放送局(VTV4)の日本語番組『ジャパンリンク』で、編集者とアナウンサーを務めるレ・ラン・ゴックさん。優しく穏やかな話し方ながら、あふれんばかりの内なるエネルギーを秘めた明るい女性だ。「大好き」だという日本との関わりを目を輝かせながら語ってくれた。

父の助言で始めた日本語に一目惚れ
留学先の京都が第二の故郷に

「IT専攻の大学2年生のとき、『日本語ができれば、将来いい仕事に就ける』という父からのアドバイスを受けて、日本語の勉強を始めました。初めて見たひらがながとてもかわいくて、専攻のITより日本語センターでの勉強に夢中になりました。要するに、日本語に一目惚れしたんです(笑)」

日本語を専門的に学ぶことに決めたゴックさんは、2011年にハノイ大学の日本語学部を受験。入学後は日本語を学ぶかたわら、大学の日本語クラブ会長として2013年の日越外交関係樹立40周年イベントを開催するなど、日本に関わる活動にも積極的に参加した。

「2014年には大阪国際大学の交換留学プログラムで、日本へ行く夢が実現しました。海外へ行くこと自体が初めてで、関西国際空港に着いたときは日本のおいしい空気を胸いっぱい吸い込み、新しい旅が始まったことにわくわくしました。電車や温水洗浄便座など、便利で現代的な生活も体験できました」

ゴックさんは京都の京田辺市で、幼い子どもが2人いる日本人ホストファミリーと共に1年を過ごした。日本人のお母さんから日本料理を学ぶなど、ファミリーの“長女”となり、家族のあらゆる行事に参加した。

「日本に着いたときは、ちょうど桜の季節でした。ホストファミリーのお父さんが家族全員を京都市まで車で連れて行ってくれて、鴨川のほとりでお花見をしながら、温かいお酒を飲みました。桜の花びらがひらひらと舞う中で、家族みんなで幸せに過ごしたこの時のことを、私は決して忘れません。以前に見た映画での光景そのものでした」

ホストファミリーのサポートを受け、ゴックさんは日本で初めてアルバイトをし、茶摘みなど多くのボランティア活動にも参加した。
「ベトナムに戻ってからも、ずっと連絡を取っています。大学の卒業式、結婚式、出産など、人生の節目にはホストファミリーが祝ってくれたり、励ましてくれたり。日本人の家族がいる京都は、私の第二の故郷です」

 

 

憧れの先輩を追って日本語アナウンサーに
関西弁を標準語に調整する努力

「まさか自分がテレビ番組のアナウンサーになれるとは思ってもいませんでした。しかし、この仕事との縁は大学生時代からあったと思います」

大学時代の2013年、ゴックさんは大学の先生の紹介で、ベトナム国営テレビのVTV2で日本の魅力を紹介する番組『日本紀行/Nhat Ban Dong Hanh』にゲストとして参加し、アナウンサーの仕事の魅力を知った。1年間の日本留学を経て2015年にベトナムに帰国したゴックさんは、日系企業に就職。そこで2年ほど勤めていたある日、大学の先輩がベトナム国営テレビ(VTV)の日本語番組『ジャパンリンク』にアナウンサーとして出ているのを偶然目にした。そこで先輩に連絡を取ったところ、番組が編集者を募集中だと知ってすぐに応募し、順調に採用が決まった。2018年からは番組のアナウンサーを務めている。

「関西に住んでいたので、私の日本語は関西弁のイントネーションが強かったのですが、アナウンサーとしては標準語で話す必要があります。そんな私を助けてくれたのは、ジャパンリンクに派遣されているJICA海外協力隊の日本人のみなさんでした。各番組の吹き替え作業の際に、私の発音や間の取り方、声の上げ下げ、イントネーションなどを一語一語やさしく辛抱強く教えてくれたのです。そのような助けを受けられたことはとても幸運でした」

日本語番組の仕事では多くの日本人と出会い、AKB48など有名人を取材する機会などもあった。より良い日本語番組作りに向け、日本人の同僚やベトナム人編集者たちと日々努力を重ねている。

日本語番組を通して
日本人に有益な情報を届けていきたい

 

日本とベトナムについて、「とても深くて有意義な関係にあります」と言い切るゴックさん。
「両国のよい関係性のおかげで、私は日本語を学び、日本に留学する機会と、今の仕事を得ることができました」
京都の花見に飲んだ温かいお酒の思い出から、娘に「さけちゃん」というあだ名をつけるなど、ゴックさんの人生に日本は大きな影響を与えた。日本への恩返しとして、仕事を通じて日本とベトナムの架け橋となりたいという思いは強い。
「約6年前、私がアナウンサーになったばかりとき、日本人はテレビ番組に出ることをとても恥ずかしがることに気づきました。でも最近では、とくに長年ベトナムに暮らす日本人の方々を中心に、みなさんがテレビ出演においてとても協力的で、熱心に質問に答えてくれるのを見て、とても嬉しく思います。最新ニュースに加えて、ベトナムと日本に関する興味深いストーリーを日本人視聴者に伝えられるように毎日努力しています。私たちの番組『ジャパンリンク』がもっと人々に届くことを願っています」


2014年に大阪国際大学に留学。2015年ハノイ大学の日本語学部卒業。2018年からベトナムテレビ外国語放送局(VTV4)の日本語放送番組『ジャパンリンク/Japan Link』で編集者・アナウンサーを務めている。

 

取材・文/Sketch Co.,Ltd.