日越のよりよい関係のために
日本でベトナムの魅力を広めたい
グエン・ティ・ビック・ハー さん
千葉県船橋市役所市長公室国際交流課/国際交流員

グエン・ティ・チャー

日本語の学習環境が少ないベトナム中部で、グエン・ティ・チャーさんは、高校時代にアニメ好きが高じて日本語の勉強をはじめた。ハノイ貿易大学に入学後は、日本語スピーチコンテストなどに積極的に参加しながら日本に行く夢を育て、ついに実現。現在は千葉県船橋市の国際交流員としてベトナム文化を広める仕事について楽しげに語る。

数学専攻から日本語学部を目指し

日本で国際交流員に

ベトナム中部ゲアン(Nghe An)省で生まれ育ったチャーさんは、高校1年生から『ワンピース』などのアニメにはまり、ベトナム語字幕のないアニメを見るために日本語の勉強を始めた。

「当時、地元には日本語教師がいなかったので、インターネットを利用しての独学でした。ヴィン大学附属英才高等学校の数学専攻の生徒が大学入試で日本語学部を受験することは話題となってしまい、反対意見や皮肉も言われましたが、日本語の勉強を続けてハノイ貿易大学日本語学部のビジネス日本語専攻に合格しました」

当初は「アニメを見るため」の日本語学習だったが、学べば学ぶほど日本に行きたい思いが強くなり、訪日に向けて一歩ずつ進んでいった。

「大学の日本語クラブや日本語スピーチコンテストに参加し、たくさんのいい出会いができました。『ナジックカップ』では最優秀賞を受賞して初めて日本へ行きました。新宿駅で終電に乗り遅れた時、やさしい日本人の方がホテルまで送ってくださり、日本人の温かさを実感できました。2019年には交換留学生として一橋大学に半年間留学し、帰国後には『ビジネスプランコンテスト』で三井物産賞をいただきました。これらの経験を通してもっと日本で生活をしたいと思い、戻るチャンスをずっと探していました」

そうして20228月には語学指導等を行う外国青年招致事業「JETプログラム」に参加。現在は千葉県船橋市の国際交流員となり、「アニメで見た日本のような生活」を楽しんでいる。

 

 

ベトナムの良いイメージを

日本人に届ける努力

「日本生活を『色』に例えるなら『バラ色』です。日本の方たちはとてもやさしくて、すてきな体験をさせてもらってきました。人生はいつも順番に進むわけではありませんが、物事の捉え方は自分次第だと思っています」

そう語るチャーさんは常に前向きな気持ちで国際交流員の仕事に全力を注いでいる。

20228月末に船橋市役所に入庁したての時、知り合いもいないのに10月のインターナショナルフェスティバルのパフォーマンス参加者を集めなくてはならず、とても焦りました。そこで船橋市に住むベトナム人向けのフェイスブックグループで声をかけたところ、多くの人が演奏や車の提供など様々な形で参加してくれました」

ベトナム人コミュニティに対する感謝の気持ちから、自分の仕事を通じて日本人がベトナム人の良さを知りベトナム文化への理解を深められることを目指している。

「日越外交関係樹立50周年を迎えた今年は、ひと月に2回ほど船橋市が行うベトナム文化紹介イベントやワークショップを担当しています。ベトナム人コミュニティに有意義な貢献ができるように努力しています」

 

ベトナムと日本の
姉妹都市の増加を

チャーさんは日本人が在日ベトナム人に生活マナーを伝える機会や、日越間の姉妹都市が増えることを望んでいる。

「最近増えているベトナム人技能実習生は、日本にとって大切な労働力ですし、お互いがあまり良くない印象を持っていることを残念に思います。自転車の2人乗りがNGなど、生活上のルールをベトナム人に丁寧に教えてもらえると嬉しいです。また大阪市とホーチミン市、福岡市とハノイ、西条市とフエなどの姉妹都市がありますが、日本とヨーロッパ諸国と比べると数は少ないのが現状です。姉妹都市を増やすことで、経済、文化などの多分野における交流活動も活発になります。ベトナムと日本のパートナーシップがより強固なものとなることを願っています」

 

2019年に一橋大学に交換留学し、同年10月に三井物産の「ビジネスプランプレゼンテーションコンテスト」優秀賞、11月にビジネスプランコンテスト「クエストキャリアinハノイ2019Quest career in Hanoi 2019」エースコック賞を受賞。2021年にハノイ貿易大学日本語学部卒業。20228月より千葉県船橋市役所市長公室国際交流課にて国際交流員を務める。

 

取材・文/Sketch Co.,Ltd.